ランクルと言えどもさすがに新車同様という訳には行かないのが正直なところです。
ただし、しっかり知識のあるランクル専門店でメンテナンスをすれば、
そんなに“ビクビク”して乗る必要はありませんが、
特にキャブ車の場合はちょっとしたコツも必要です。
今回はランクル60の中でもガソリン車のキャブ車
(FJ60V・FJ61V・FJ62V)の場合に、
『エンジンがかからない!!』という時についてお話します。
ランクル60 インジェクション車(FJ62G)についてはこちらをご覧ください。
キャブ車とは?
ランクル60のガソリン車はキャブレター式とインジェクション式のお車があります。
マニュアル車の場合はキャブ車となりますのでこちらをご覧ください。
(マニュアル→オートマに載せ替えている場合も稀にありますが・・・)
『エンジンがかからない』と言っても“どうかからないか”がトラブル回避のポイントです。
お車が普段と違う点を探してみます。
セルモーターが回る??
(エンジンを普段かける際に、“チュルチュルチュル”と鳴る部品がセルモーター)
①普段通りしっかり回る・・・Ⅳ&Ⅴ&Ⅵへ
②いつもより弱い・・・Ⅰへ
③回らない・・・Ⅰ&Ⅱ&Ⅲへ
Ⅰ.バッテリー上がり
【バッテリーが上がってしまう理由】
①室内球やポジションなどが付きっ放しによる
すでにバッテリーがあがっていることで、ライトが消えている場合が多く、
ライト付いていないのに・・・と思った時は『スイッチ』を確認してみて下さい。
②しばらくエンジンをかけていなかった為
「今までは2週間ぶりに乗っても大丈夫だったのに」という場合でも、
前回の運転時のバッテリー消耗具合や③の劣化と伴って上がってしまう場合があります。
③バッテリーの劣化・寿命
バッテリーの寿命は3年から5年前後と一般的には言われています。
その判断は難しく、中には10年くらい変えていない方もいらっしゃいます・・・
チェックしてもらって、「交換時期ですよ!」と言われたことのある方も多いと思いますが、
“寿命”を判断することは正確には実はとても難しい事なのです。
普段あまり乗らない方は早めの交換をお勧めします。
④ダイナモ(発電機)の不良
ダイナモの不良が原因で、前回車を止めたときのバッテリー残量が少なくなっていて、
車を置いておくだけでも少しずつ放電する為、バッテリーが上がってしまった。
ダイナモ(発電機)がダメなときのチェック方法はこちら。
などが挙げられます。
【バッテリーが上がったといっても、バッテリーの残量によって症状は様々】
①全く残量が無い場合
鍵を回してもうんともすんともいいません。
メーターの警告灯も点かない、ホーンも鳴りません。
→→バッテリーが上がっていることが予想されますが、念のためⅢも確認してください。
②多少残量が残っている場合 その1
セルモーターが回らないけど、警告灯は点く。
→ホーンの鳴り具合を確認。いつもより音が小さい。
→電圧計(メーター内のガソリンメーターの下)の針が1/4を下回っているようなら、
バッテリーが原因です。(通常は12V(ちょうど真ん中)やや下位なら問題無しです。)
③多少残量が残っている場合 その2
セルモーターの回り方がいつもより弱い。
→電圧計を確認。この症状の場合はバッテリーが原因の事が大半です。
Ⅱ.セルモーターの劣化
セルモーターは『とても大きなモーター』です。劣化による作動不良は突然くることが多く、
トラブルを予見することは難しい部分です。
セルモーターが回らないけど、Ⅰのチェックでバッテリーは問題無さそう。
そんな時はこのセルモーターが原因の場合が多いです。
セルモーターが劣化により作動不良を起こしている場合、
・何度もやっているとかかる
・しばらく放っておいたらかかる
・バッテリーを繋ぐとかかることもある
・セルモーター自体をたたくとかかる
(長いパイプのようなもので。傘だとちょっと弱いと思います)
上記のように対応してかかる場合があります。
これらはセルモーターの作動不良における初期の症状で、
放ってくと全くかからなくなってしまう恐れがあります。
Ⅲ.ヒュージブルリンクの接触不良/バッテリーターミナルの接触不良
ヒュージブルリンクとは
ヒュージブルリンクとは、バッテリーのプラス端子(向かって右側の端子)のすぐ近くにある、
配線の束になっっている部分。
この一つ一つの配線自体が『ヒューズ』の役割をしています。
(最近の車では、ここに配線式のヒューズではなく、普通のヒューズが付いています)
このヒュージブルリンクは、通常ではバッテリーを逆につけたりなど、
とてもおかしな電流が流れないと切れるようなものではありませんが、
ランクル60ほど古くなればそういう訳にもいきません・・・
劣化により、切れてしまうことがあります。
→→外見から「切れている」ということはわからなく、内部で切れていることがあります。
この場合、バッテリーの残量が全く無い時と同じ症状となります。
→ヒュージブルリンクの束を手で少し揺すってからエンジンをかけるとかかる場合があります。
↓↓↓
エンジンがかかっても、なるべく運転せず、ヒュージブルリンクを交換しましょう。
※この部品はトヨタメーカーからは部品の供給終了しました。
ランクル専門店にお問い合わせください。
P.S.
flexdream では納車時、明らかに新しいヒュージブルリンクが付いている、
等の場合を除き、ランクル60は全車交換してご納車しています。
バッテリーターミナルとは
バッテリーのプラスとマイナスに配線がとまっています。
ココの部分がバッテリーターミナルです。
バッテリーターミナルの端子が振動等により、緩んでしまっている場合があります。
(特に純正の鉛式端子のままの場合、鉛が削れて閉まりきってない時があります)
少し揺すってみてからエンジンをかけてみて下さい。
↓↓↓
エンジンがかかっても、なるべく早くターミナルの端子を交換しましょう。
P.S.
flexdream では緩みが発生している、または発生の可能性がありそうな端子は、
必ず交換してご納車しています。
Ⅳ.セルモーターが回るけどエンジンがかからない場合:(1)かぶっている
この場合はまず念のため『ガソリンの残り具合』を確認してみて下さい。
燃料が問題ない場合、『かぶっている』場合が良く見られます。
“かぶっている”とは?
良く聞くけど良くわからない、そんな方も多いかと思います。
ガソリン車の場合、ガソリンと空気の混合の気体(ガソリンが混ざっている空気)に
プラグで火花を散らすことでエンジン内部で“爆発”させることでエンジンをかけています。
インジェクション車両とは、この混合気体の配合を“コンピューター制御”で行っている、
という事に対し、キャブ車の場合、“機械仕掛け”によって行っています。
例えば、
・雨が降っていて湿度が高い
・寒い
などにより、しっかり“爆発”する為のガソリンの濃さなどを、
キャブ車の場合は基本的にコンピューターなどによって調整してもらえないのです。
エンジンをかけようとした際に、ガソリンが濃すぎたりすることに因り、
プラグがガソリンで“濡れてしまう”とプラグから火花を散らすことができなくなります。
この状態が“かぶる”という状態です。
“かぶっている”かどうかの確認
①ガソリンがキャブに来てる??
ランクル60のキャブ車の場合、燃料ポンプはギア式。
エンジンの脇についているため燃料ポンプがダメということはあまり見られません。
キャブ本体を前から見て真ん中あたりに直径1〜2センチほどの透明な小窓がります。
通常ではここにガソリンが半分ぐらい入っています。
車体を揺らして確認してみて下さい。
ガソリンが入っていない!という場合はⅤへ
②点火してる??
ランクル60キャブ車の場合、症状によりことなりますが、
うまく点火されていない場合、セルモーターを回している最中に
タコメーターがピクリとも動きません。
ピクリとも動かない場合はⅥへ
セルモーターを回している間、ピクピクとタコメーターが動いている場合、
ほとんどの場合は点火に問題はありません。
(注:ここでいう点火とはプラグまで電気が行っているか、という意味です)
①・②で問題ない場合、“かぶっている”可能性が高いです。
かぶっている場合の対処法
かぶっている場合、エンジンがかかって、しっかり“ふかして”あげれば
問題無いことが多いです。
①チョークワイヤーを戻す。
②アクセルは踏まない。
③①・②の状態で、セルモーターを5秒から10秒弱ほど回す。
④10秒くらい休憩。
⑤③・④を繰り返す。
⑥かかりそうになったら、“いいタイミングで”アクセルをふかします。
この時、状況によって異なりますが、踏み過ぎず・踏まな過ぎず、ちょうどいい感じで・・・
一切かかりそうな感じがしない時はしばらく車を放置してから試してみて下さい。
(できればその場でプラグを一旦外して掃除するといいのですが)
かぶってしまう理由と対処法
かぶってしまうという事にはいくつか原因が挙げられます。
簡単にここが悪い、特定することは簡単ではありませんが、いくつか原因を挙げてみます。
①キャブレターの調子が悪い
キャブでガソリンと空気の混合気体を作っています。
キャブが調子が悪いと混合気体がちゃんとつくれません。
この場合、オーバーホールすると格段に調子が良くなります。
②プラグの劣化
ちゃんとした混合気が作られても、しっかり点火していないとかぶってしまいます。
③走り方の問題
キャブ車の場合、“しっかり回して”走ることを心がけて下さい。
低回転の状態でギアチェンジを繰り返すとかぶってしまうことがあります。
④エンジンが温まる一歩手前でコンビニなどに立ち寄った時。
この場合、エンジンが冷えているときと同じように、
アクセルをタップリ踏んで、チョークワイヤーを引っ張ってエンジンをかけようとすると
かぶることが多いですので気を付けて下さい。
Ⅴ.セルモーターが回るけどエンジンがかからない場合:(2)ガソリンが来ていない
Ⅳのチェックでキャブにガソリンが来ていない場合はこちらをご覧ください。
キャブにガソリンが来ていない場合は、セルモーターを回しても、
マフラーからのガソリン臭い感じが少ないはずです。
この時の理由の多くは
①キャブの不具合
②燃料フィルターの詰まり
ランクル60のキャブ車の場合、燃料ポンプはギア式でエンジンの脇についている為、
トラブルの可能性は低く(ゼロではありません)、上記の2点の可能性が高いです。
キャブの不具合の場合、キャブ本体をハンマーなどでコンコン叩きながら
セルモーターを回すとかかる場合がありますので試してみて下さい。
かかったら、なるべく早く一度お車を点検しましょう!
燃料フィルターの詰まりの場合、エンジンルーム内にあるフィルターを交換します。
これはとても危険を伴う作業となりますので必ず専門店にて行うようにしましょう。
Ⅵ.セルモーターが回るけどエンジンがかからない場合:(3)火花が飛んでない
Ⅳのチェックで火花が飛んでいない場合はこちらをご覧ください。
火花が飛ばない理由としては
①デストリビューター(通称:デスビ)内部の消耗品(ポイント)の劣化
②イグニッションコイルの不具合
③プラグコードの不具合
④その他点火にまつわる部品や配線の消耗
などが挙げられます。
いずれも専門知識が必要な処置となりますので、その場で応急処置をすることは難しいです。
念のため、デスビのまわりのコードなどが抜けたりしていないかを確認してみて下さい。
上記の例は一つの参考として考えて頂ければ幸いです。
全てにおいて正しいという事を保証するものではありませんのでご注意ください。
色々試した結果、エンジンがかからないようであればレッカーをする必要があると思います。
flexdream で任意保険ご加入いただいている方は
日本興亜 車の安心サービス 無料レッカー がご利用可能です。
その他でご加入の方も、最近の保険には知らない間にレッカーサービスが付帯されている
事も多いので、念のため確認してみて下さい。
ランクル60は年式を考えたらとてもトラブルの少ない車だと思います。
しっかりメンテナンスさえ行っていけば、そんなに故障を恐れることはないと思います。
デスビのポイントキットは消耗品ですので、年間の走行距離が多いという方は、
早めに点検するように心がけましょう!!!
知識や経験、愛情がタップリなランクル専門店にお任せください。
それなりに古い機械、という事もありますので、
トラブルは絶対無い、とはさすがに言えないのも正直なところですが、
「知識」と「経験」と「愛情」は他のランクル専門店とは違う。
そう思ってスタッフ一同、日々精進しております。
是非ランクル専門各店舗まで遊びに来てください。
きっと私たちの「知識」と「経験」と「愛情」の深さがわかっていただけると思います。